「一利を興すは一害を除くに如かず。一事を生かすは一事を省くに如かず」 耶律楚材

 世界史上最大のモンゴル帝国を築いたチンギス・ハーンとその後継者オゴデイ・ハーンのブレーンであったと伝えられる耶律楚材の言葉です。一つ利益を生むことを始めることは、一つ害をなすものを取り除くことに及ばないという意味です。

 収益性の改善を図るとき、売上を増やすことを優先すべきか、支出を抑えることを優先すべきか。これまで多くの企業の取り組みを見てきた限りでは、まずは不要な支出を抑えることや利益を生まない事業、商品・サービスを廃止するということに取り組む方が効率的であり、将来の攻めのための筋肉質の体質を獲得することができるように感じます。企業にとっても「一利を興すは一害を除くに如かず。一事を生かすは一事を省くに如かず」です。

 ただ、無駄な支出を抑える、利益を生まないものを廃止するといっても、目先は無駄に見えても長い目で見ると重要なものをやみくもにやめてしまっては未来はありません。企業にとって何が「一利」で何が「一害」かを切り分けていくことは会計の得意なことであり、我々会計専門家は企業に何が真の「一害」か適切なアドバイスをしていく責任があります。

 また、「一利を興すは一害を除くに如かず。一事を生かすは一事を省くに如かず」は、中堅・大規模の企業にとってだけでなく、スタートアップの企業にとっても大事なことだと感じます。新たなサービス・事業を立ち上げることがミッションであるスタートアップ企業はどうしても「一利を興すこと」「一事を生かすこと」に目が行きがちです。知らず知らずのうちに「一害」が会社内に積み重なり、規模が大きくなってきたときの足かせとならないように、「やるべきこと」の議論と同様に「やめるべきこと」・「やらないこと」を認識することが必要です。

 


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